エステル油とは~油の基礎と化粧品への機能性付与~

油の種類(天然油と合成油)

 油は大きく分けると「天然油」と「合成油」の2種類に分けることができます。さらに、天然油
  ・鉱物油:地中から採掘され、成分は主に炭化水素でできている
  ・植物油:植物の種子果実から抽出される
  ・動物油:動物の特定部位から抽出される
 の3つにわけることができ、それぞれの油が化粧品でも使用されています。天然油は人が手を加えない分構造が限定的であり、物性や機能性に限りがあります。
 一方で、合成油(エステル油)は無数にあるアルコールと無数にある脂肪酸を様々な比率で組み合わせることで物性や機能性に幅を持たせることが可能になります。

エステル油の例(グリセリン骨格)

 例えば、グリセリン骨格を有するエステル油剤の例をお示しします。
3つのヒドロキシ基を持つグリセリン(アルコール)と様々な脂肪酸を独自の比率で組みあわせることで、それぞれ全く異なる機能や性質を示すエステル油剤となります。トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル【O.D.O】とトリエチルヘキサノイン【T.I.O】はさらさらとした粘度の低い油となりますが、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル【サラコス334】はペースト状油剤となります。


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低極性油剤

O.D.O
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化粧品表示名称:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル

中鎖脂肪酸トリグリセライド。べたつき感がなく、酸化安定性が高い油剤。全て植物由来原料を使用。

低極性油剤

T.I.O
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化粧品表示名称:トリエチルヘキサノイン

べたつき感がなく、酸化安定性が高い油剤。低温安定性に優れる油剤(凝固点:ー30℃以下)。

ペースト状油剤

サラコス334
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化粧品表示名称:トリ(カプリル酸 / カプリン酸 / ミリスチン酸 / ステアリン酸)グリセリル

肌上で溶ける伸びの良い固形油。保湿性に優れた油剤。全て植物由来原料を使用。

エステル油の機能性

 エステル油は化粧品の使用感や機能性を高めるうえで、欠かせない成分です。
化粧品には、感触、発色、ツヤのよさや保湿などさまざまな機能が求められます。当社グループの持つエステル合成や精製、評価技術により、さまざまな物性・機能を持つエステル油を創り出し、お客様のニーズにお応えする高品質・高機能な製品をお届けしています。
 このコラムを通して、エステル油への理解を深め、原料選定にお役立ていただければ幸いです。